自己投資によって仕事を効率化し、時間を生み出すマインドセット from 『レバレッジ・シンキング』
東洋経済新報社刊、本田直之著『レバレッジ・シンキング』を読みました。
著者提唱の「レバレッジ」理論の総まとめ。
「労力」「時間」「知識」「人脈」にレバレッジをかけて、効率的に成果をあげ、時間を生み出し、その時間を再投資することでもっと自分を成長させていこうというのが狙い。
『レバレッジ・リーディング』、『レバレッジ時間術』、『レバレッジ勉強法』、『レバレッジ人脈術』の内容も含んでいるが、要点がコンパクトにまとめてあるのでおすすめ。
いわば、これらの本のレバレッジ・メモを読んでいるような気がする。
レバレッジ・メモはいろいろな本の要点をまとめた究極の本なのだから、本書はかなり有用!
著者が実践している方法には、なんでもかんでも「レバレッジ」という接頭辞がつく。
たとえば、「レバレッジ・リーディング」は多読法としてはありきたりだと思うが、あえてそういう名前をつけることでかっこよく思えてくるのが不思議。
いや、あえて名前をつけることで体系化するというメリットがあるのかな。
マーケティングのヒントかもしれない。
レバレッジメモ
はじめに
常にレバレッジを意識せよ
章頭の言葉
- 「人生から何を得るかを問い、得られる物は自らが投じた物によることを知ったとき、人は人として成熟する。」ピーター・ドラッカー『断絶の時代』
- 「理想的な一日にしようとしないなら、誰か他人に振り回される。」マジョリー・ブランチャード
レバレッジという考え方
4ぐのパーソナルキャピタルを構築する
- パーソナルキャピタルは再投資によって加速度的に増えていきます。
- 自分が実際に働いていなくても、あたかも不労所得を得るかのように、労力や時間がゼロに近づいていきます。
- パーソナルキャピタルを形成する場合には、それが時代のニーズに合っているかどうかを見極めることが重要です。
DMWLを常に意識せよ
- そこで、わたしは名刺の裏に「Doing more with less」と印刷したり、「Doing more with less」シールをつくって、オフィスやノートパソコンなど、目につきやすいところに貼っています。
- 余裕時間をつくることだけしか考えないのではなく、成果が上がるから余裕時間ができるようになるのです。
- 効率化して生み出した余裕時間は思い切り楽しんでよいのです。
パーソナルキャピタルとマインドを兼ね備えよ
- パーソナルキャピタル×マインド=成果
- 自己啓発書をよんでも成果があがらない理由は、マインドが高まってもパーソナルキャピタルを増やす努力をしないから、思うような成果が上がらないのです。マインドは資産ではありませんので、残念ながら空回りだけしてしまうのです。
ゴールを定め、「しないこと」を見つけよ
- ゴールを明確に描く最大のメリットは、選択力が身につくことです。自分にとって何が大切で、何が大切でないかがわかるようになります。余計なことをしなくなり、時間、労力、お金の無駄がなくなります。
- 「目標を紙に書いておいたら、新たな仕事が舞い込んできた」
- 「偶然にも必要な人に出会うことができました。それから仕事が生まれ、現在の自分があるのです」
- チャンスは誰にでも均等にあり、それに気づけるか、気づけないかは、どれだけ明確にゴールを描けたかにかかわってきます。
アクティブに行動せよ
自分の現在位置を知ろう
DMWLのバックボーン
労力のレバレッジ
章頭の言葉
労力のレバレッジとは何か
仕組み化のメリット
- うまくいった方法を仕組み化すれば、いつでも誰でも再現することができます。
- 仕組み化には、余計に時間・労力がかかりますが、それによって、先々継続してリターンを生むことになります。
マニュアルとフォーマットの重要性
- まず、マニュアルを考えることに労力と時間をかけるのです
- マニュアルの本来の目的は、一定の仕事レベルにまですべてのスタッフの能力を引き上げることです。時間を短縮し、最短ルートを通るためのツールなのです。そして、仕組み化する部分は仕組み化し、それ以外のことに頭を使えるようにします。
逆算発想のチェックリスト
- チェックリストに沿って仕事をしていけば抜けがないし、やらなくてはいけない全体の作業量のボリュームもわかります。時間の節約にもつながりますし、誰かに仕事を依頼する場合も、全体像とやるべきことがわかっているので時間の無駄がなくなります。
- 出張の際に何を持っていくかもチェックリストにしています。
無意識化・習慣化が成功のカギ
大きな習慣をつくるには小さな習慣から
- 大きな習慣が崩れているときは、小さな習慣も崩れていることが多いのです。そういうときは小さな習慣からスタートします。
習慣チェックリストと数値管理
- 習慣チェックリスト
- DMWL
- 朝、タスクを紙に書く
- 頭の中を紙に書く
- やりたくないこと、やらないことを明確にしているか
- 情報を提供しているか(おもしろかった記事や出来事をシェア)
- 本を1日1冊以上読む
- 仕組み化・チェックリスト化
- 人脈との定期的なコンタクト
- アロハスピリット
- 読み終えて情報を抜き出した雑誌や本を捨てる
- テレビを生で見ない
- 抜いだ靴を揃える
- 今日出したものは今日中にしまう
- DMWL
- 数値管理によって日々の達成感を味わい、ゴールまでの距離がわかることで、継続へのモチベーションが高まるからです。
- 数字で進捗状況をつかむことで、モチベーションを高め、自己ノルマとなって、自分を動かすことができるのです。
KSFを見極める
- 効率が悪く、成果が上がらず時間がかかってしまうことの原因の1つは、ポイントがずれていることにあります。ずれたことを必死にやっていても成果にはつながりません。
- 成功へのカギを握る要素(KSF)を見極める能力が必要なのです。
- 始める前にどうすればよいか、その最短距離を考えて効率的に行動するのです。これこそが成果を上げるために最も重要な能力の1つだと思っています。
- わたしの場合、最初に「合格体験記」を大量に読みました。すぐに勉強を始めるのではなく、試験に合格するための勉強のやり方を学びました。
- KSFに時間と労力をかけることで、「作業」よりも「結果」に集中でき、より大きな成果を上げることができるようになるのです。
80対20の法則とKSF
- 100のやるべきことがあるとしたら、そのうち特に大切なことは、20程度なのです。
俯瞰逆算思考でKSFを見つけよ
- 仕事をするときには、必ずKSFは何かを意識してください。今やっている仕事のKSFはどこにあるのかを考える時間に投資をし、明確にしてから仕事をするのです。
- 前例を調べる
- うまくやっている先輩などに聞く
- ビジネス書から学ぶ
- 「できない」ということを知ると同時に現時点と合格ラインのギャップがわかり、「何を勉強したらいいか」という目的意識が生まれます。
二毛作でさらなる効率化
- 労力のレバレッジでは、1つの物事をするときに、同時に何かできないかを考えます。
- 「(睡眠中に)脳が何をしているかといえば、入力がない状態で、一時的に保存していた記憶をより永続的な記憶に変換したり、得た情報を取捨選択し、思考を整理したりしているわけです」
- 寝る前に暗記をする
まとめ
- 労力のレバレッジは、どうすれば少ない労力で大きな成果を上げられるか、にある。
- うまくいった方法を仕組み化すれば、いつでも誰でも再現することができる
- マニュアル化・フォーマット化、チェックリストづくりに時間を費やす
- 無意識化・習慣化によって、自動的に身体が動くようになる
- 大きな習慣をつくるには、小さな習慣から始める。小さな良い習慣を身につけていくと、良い流れが生まれる
- 習慣は数値管理することで、モチベーションを高め、自分を動かすことができる
- 成果に結びつけるKSFを見つけだすことが成功へのカギ。その手段としては、俯瞰逆算思考が不可欠
- 1つのフィールドで2つのことをやる二毛作で成果が大きく変わる
- 限界は自分でつくってしまっているだけである。「自分はできる」と思うことで、プラスのレバレッジがかかる。
時間のレバレッジ
章頭の言葉
時間のレバレッジとは何か
- 時間がないから成果が上がらないのではありません。時間があるから成果が上がらないのです。
- 意図的に時間を短くして成果を上げられるようにしているのです。
- 知識労働社会では、時間を積み重ねれば積み重なるほど成果につながるという仕事はほとんどなく、実際にはある程度のレベルにまでは到達しますが、その後は一定になります。
- 成果を短時間であげることが重要なのです。
- 満足すべき仕事をしているかどうかさえ知ることが容易ではないので、自分で時間の区切りや成果(基準・ゴール)を設けてやらない限り、仕事には終わりがありません。
時間は投資によって増やすことができる
俯瞰逆算思考で立てるレバレッジ・スケジューリング
- ビジネスでうまくいっている人たちに話を聞いてみると、そのほとんどがまずゴールを設定しています。つまり、自分で試合日程というデッドラインを決めているのです。そして、俯瞰逆算思考でタスクを決めるという方法をとっています。
- はっきりとしたゴールがないと、「やるべきこと」と「やらなくてよいこと」というタスクの選択ができなくなります。
- 俯瞰逆算思考の考え方でカレンダーを眺めて、空いている時間を把握し、その中での時間配分を考え、逆算でステップごとの締め切りを決めて行動し、締め切りまでに「あとどれくらいの時間」があるのかを考えて、そこでできることに集中することで、確実な成果を出すことができます。
俯瞰逆算思考で生まれるタスク
- 浮かんだ優先順位はつけません。人生を通してやりたいことが決まっていれば、余計なタスクは思い浮かばなくなってきます。それができない、あるいは優先順位の低いタスクが思い浮かぶのは、目標が明確になっていないということなのでしょう。
- 成果を上げるためにかける労力・時間があいまいになった知識労働社会に変わった今、選択力は必要な力です。選択力をつけるためには時間制限をつけなくてはなりません。
時間のルーチン化
- 時間割をつくり、時間のルーチン化を図るとムダな時間を過ごさない仕組みになる
- すぐに行動を起こさず、この仕組みづくりに時間を投資することがポイントです
- 時間割のおかげで、次に何をやろうかという雑念が入ることなく行動に集中力を増し、常に平常心で、自分の持っている力を発揮させるベースになります
投資中心のわたしの時間割
- 時間のカテゴリ
- 自己投資(インプット)
- 人に会う時間や読書
- アウトプット
- 仕事?
- 生活
- 食事、入浴、睡眠
- プライベート
- 〜
- 1日24時間を4つのカテゴリーに分類して配分しておく
- わたしの時間割
- 平日
- 5:00
- 起床
- 5:00〜7:00
- 入浴+ビジネス書を読む
- 8:00〜8:10
- 今日の行動予定策定
- 9:00〜11:00
- トレーニング
- 11:30〜13:30
- ランチミーティング
- 14:00〜19:00
- 今日のタスクを実行
- 19:00〜23:00
- ディナーミーティング
- 土日
- 5:00
- 起床
- 5:00〜7:00
- 入浴+ビジネス書を読む
- 8:00〜23:00
- プライベート
- 平日
- このように時間割をつくると、「この仕事をやるのに○時間かかる」という発想から、「この時間の中でこの仕事をやる」という発想に変わります。
- 時間割をある程度つかってみたら、自分が時間をどのように使ったかをレビューするとよいでしょう。自分の時間の使い方を分析し、意味のないこと、意味のあることに分類し、意味のないことをやめます。これが時間の損切りです。
- まず、レビューすべき項目を決めます。自己投資に使った時間、食事の時間、人に会った時間、睡眠時間など、自分が時間をどのように使ったかを大雑把に把握します。
- 何をしていあのかわからない時間がでてきます。こうした時間があることを常に意識し、もっと効率よく時間を使う方法を考えあますう。
自己投資の時間を天引きに
- 時間割をつくってブロックして、自己投資に時間を決めてしまえば、残った時間で仕事をしようという発想になります。
- 仕事を早く終わらせて残った時間で本を読もうと発想すると、実際には本を読む時間は仕事に奪われてしまうことが多いのです。
タスクには制限時間を設けよ
- 区切りがないと、「終わるまでやろう」という考え方になります。それでは仕事を効率的にはできません。
- 脳の基本回転数を上げるには、時間の制約が必要
- 12時間働く時間があると思うと、何から始めようかと悩むような場合でも、5時間しかないとなると「最低限、これとこれはやらなければいけない」ということを強制的に判断し、時間に対してレバレッジをかけざるをえなくなります。
時間の固定費を削れ
- ルーチンワーク、定時ミーティング、睡眠、食事、通勤、コンピュータの入力や検索
- 自由時間を削って仕事をするということは、自己投資に費やす時間を下げるということになります。すると固定的にかかる時間が増えていくことになります。
- 寝る前に記憶したいことを読んで、そのまま眠ります。そして、朝起きてすぐに復習すると記憶が定着します。
睡眠の科学
- 「脳が目覚める、目覚めないという前に、まず身体を起こして、歯をみがいたり、カーテンをあけたり、顔を洗ったりして、体を動かすことによって、それに引きずられる形で脳が目覚めるのです。布団の中にいたらいつまでも脳は目覚めません。」
- 平日のランチの後15分ほど昼寝をする
まとめ
- 時間がないか成果があがらないのではない。時間があるから成果があがらない。
- 時間は投資することで増やすことができる。さらに、投資で増えた不労所得的に生まれる余裕時間で再投資し、DMWLを実現することができる
- 俯瞰逆算思考のレバレッジ・スケジューリングで行動する前に計画を立て、全体の流れのから今日の「タスクリスト」に落とし込む
- 俯瞰逆算思考のメリットは、ゴールがはっきりしていること。一定の時間の中で、成果を上げるためには何をやらなくてはならないのかがわかる
- 時間割をつくることは、投資でいうアセット・アロケーションのようなもの。インプット、アウトプット、生活、プライベートの4つに分類して考える
- 時間割によってルーチン化することで、ムダな時間を過ごさないようになる
- 自己投資の時間を時間割でブロック(天引き)しタスクには制限時間を設ける。
- 時間の固定費を削ることを意識する。睡眠のメカニズムやパソコンのノウハウを研究して、実践することは、大きな効果をもたらしてくれる。
知識のレバレッジ
章頭の言葉
知識のレバレッジとは何か
1から100を生む
- 一握りの天才を除いたほとんどの人は、誰か成功した人のやりかたを学んで、そこに自分なりの応用を加えるのが成功の近道です。
時間には限りがあるから学ばざるをえない
- 現状からゴールまでを俯瞰し、逆算すると、多くのやるべきことが見えてきます。その瞬間、限られた時間の中で成果を上げるには、他者から学ぶのが一番良いとわかるからです。
自分に似たタイプから学ぶ
その他メディアとつきあい方
スクール、セミナー、通信教育とのつきあい方
レバレッジ・ミーティングのすすめ
レバレッジ・メモで投資を行う
- レバレッジ・メモは、人生の目標に到達するための情報、課題を解決するための情報などが抽出されているので、自分の人生の攻略本にようなものができあがることになります。
- 仮説を持たずにいきなり本を読むと、焦点が定まっていないので、重要だと感じるっポイントがいくつも出てきます。線を引こうと思ったら、線だらけになってしまいます。しかし、仮説を持っておけば、仮説を検証するための読書にかわり、一冊にかかる時間も少なくなります。
人脈のレバレッジ
章頭の言葉
- 《現代は行為や情報を絶え間なく分かち合い、人と人とのつながりを通じてみんなが得をする時代なのだ》キース・フェラッジ『一生モノの人脈力』
- 《「"熱"のある場所に自らを持っていく」ことである。それは急成長している会社かもしれないし、何かの目標に向かって勉強している人達が集まる学校のようなところかもしれない。"熱"は伝導するものだから、"熱"のある場所に行くようにすれば、そこから"熱"をもらってくることができるものなのだ。》田中和彦『あなたが年収1000万円を稼げない理由』
人脈のレバレッジとは何か
基本はコントリビューション
- もしコントリビューションできるものがなければ、そのときはアプローチせず、何かができそうなタイミングで行うとよい
- 常に相手に対して、何を返せているかを意識する
コントリビューションベースの人脈づくり
- まず、会いたい人がどういう人か、どんなニーズがあるのかを事前に考える。相手について興味をもち勉強します。
- 会いたいと思った人がいれば直接メールする。
- おもしろいと思った本の著者にもよくメールを送ってアプローチをしている。
- 関係性ができたら、不定期でもいいので、継続的なコンタクトおよびバリュー提供を行います。実は関係性をつくるよりも継続するほうが難しいのです。
- 人脈づくり
相手を知る、どんなニーズがあるか
自分がどんなバリューを提供できるか
関係性ができたら、継続的なコンタクトを
人脈同士をつなげる
会の主催でパワフル・コネクションを
自分のブランディングを行う
- 相手が経営者であれば、その会社のホームページを熟読しますし、著者であれば、当然のことながらすべて読破します。
- 本は究極の「自分メディア」なのです。
- 周りが自分に対して抱くイメージを構築し、仕事に結びつける行為は、すべてブランディングの一環です。
マインドの高い集団で伝染する
- 自分よりもマインドの高い人、マインドの高いネットワークに加わることによって、それに影響され、自分のマインドも上がります。
他人の力にレバレッジをかける
- アドバイザーを見付け、フィードバックをもらえる体制をつくっておくと、仮に悪い方向に進んでいたとしたら、そこで修正できるので、大失敗するまで気付かないということがなくなります。
経験者・実践者をアドバイザーにせよ
- 自分が理想とするセミナー講師に定期的に会い、質問をすることによって、パーソナルトレーナーと同じ効果が得られる。
- 経験に基いた意見は大いに参考になるはずですが、逆に、実践したことのない人が言う評論家的な意見はあなたの進路を間違って誘導してしまうおそれもあるのです。
まとめ
- 人脈によってレバレッジがかかると、自分一人で出せる成果の何倍もの大きな成果を生み出すことができる。
- 基本はコントリビューション。相手にどんあバリューを提供できるかにある。
- 人脈づくりは5年、10年、20年といった長期スパンで考える
- 自分自身で会を主催することで、パワフル・コネクションを構築する。参加者全員にメリットがあるようなセグメント化された場であることが大切
- 自分のことを理解してもらう最良の方法はパーソナルブランディングにある。
- マインドの高い、これから伸びていきそうな人とのネットワークを築く。集団の中でお互いに影響しあうと、自分のマインドも上がり、お互いにレベルアップする。
- 本当にうまくいっているかどうか、プロや経験者・実践者をアドバイザーにする。間違った方向に進まないよう、アドバイザー選びには細心の注意を図る。