実録!org-modeをパソコン初心者に使わせて感激させたぜ


おひさしぶりです。

急に冷え込んできましたが、風邪
などには気をつけてくださいね。

今日は、実話を通して我々技術者にとって「価値を
提供する」とはどういうことかについて書きます。

どうしても見落してしまいがちな視点
なので、しっかり読んでください。


僕はパソコン初級者Rさんとスカイプをしていました。

Rさんは、もちろんEmacs使いではなくて、健気にもメモ帳
で3000行ものテキストを苦しんで作成していました。

Rさんは、

「あまりに長すぎてまとまってないな」

と言いました。

僕はテキスト処理のエキスパートとして長年ス
キルを磨いているので、これは目次をつけて箇
条書きにすれば見やすくなると提案しました。

ふつうのテキストファイルを箇条書き
にして目次をつくるといえば、Emacs
ユーザならばおなじみのorg-modeです。

C-c C-e Aでorg-modeのバッファを目
次つきテキストに落としてくれます。

なので、僕はRさんにこう言いました。

「Rさん、これから僕の言う通
りの書式で編集してください。

目次にする項目においては、行頭を半角のア
スタリスクとスペースで始め、その後に箇条
書きの項目を書いて僕にメールしてください。

全角にならないように気をつけてくださいね。

あとは僕が一瞬で目次を作成します。」

Rさんは必死に目次を書く作業をしていました。

作業は思ったよりも長引いてしまったため、再びスカ
イプをつけ、リアルタイムにやりとりしていました。

やっと完成したので、メールを送ってもらいました。

僕はメールの本文をキルリングに入れ、test.org
というファイルを作成し、貼り付けました。

Rさんは、タイトルに統一感がとれてないと言って
いたので、その辺の編集作業は僕がやりました。

もちろんorg-modeのOVERVIEWモードで「*」
の行だけを表示してサクッと編集です。

愛用キーボードRealforceの音がスカイプ
に響き、作業の速さが相手に伝わって、

「速いですね」

と言いました。

そして、細かい編集が終わると、奥義発動!

C-c C-e A

「*Org ASCII Export*」というバッファ
が開き、見事なまでに目次付きで整形
されたテキストが表示されています。

それをMewで相手にメールを送りました。

Rさんは、あまりの早業でびっく
りして言葉を失っていました。

初めて、テキスト処理の威力を目の当たりにしたのです。

「す、すごいです。るびきちさん。
本当にありがとうございます!!」

Rさんは、めちゃくちゃ喜んでいました。

項目数は150を超えているため、メモ帳で目次作成をし
ていると、丸一日かかってもおかしくないレベルです。

番号のミスが起こり得るし、目次行とその箇所
のタイトルを一致させないといけませんし、編
集箇所と目次を行ったり来たりする必要があり、
スキルなしで手作業すると発狂する作業です。

それを、org-modeを使えば0.3秒でできてしまいます。

召喚獣「るびきち」で相手の一日分の
時間をセーブすることができました。


この話で、重要なことは、相手の望みと自分の
スキルの交差点を見付けることなんですね。

相手の悩みを聞き、解決策を考え、それが自分の持っ
ているスキルを使えば解決することを伝えること。

そして、説明をする際には専門用語を使わず、
相手にとって行動しやすい形で教えることです。

Rさんへの説明においては、Emacsだの
org-modeだのそんな言葉は使っていません。

ただ、
「『* 』から項目タイトルを始めて、メールせよ」
と伝えただけです。

我々技術者や専門家というのは、つい
専門用語を使って、簡単な事柄をわか
りづらく言ってしまう傾向にあります。

それだと相手に伝わりませんよね。

これでは
「あなたの話、難しすぎてわかんない」
となって価値を感じてもらえません。

専門家には、専門技術を見せびらかしたいとい
うエゴにとらわれている人がたくさんいます。

かつての自分もそうでした。

相手に価値を感じてもらうには、その専
門技術をどう使うか、どう役立ってもら
うか、そういう視点が必要なんですね。

価値を提供するとは、そういうことなんです。

そして、人間の価値というのは、世の中にどれ
だけの価値を提供できたかで決まるのです。

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