もっと早くタイピングしたい人へ贈る習得容易な拡張ローマ字入力『AZIK』

  • <2010-11-02 火>追記: もっと先は
  • <2010-11-03 水>追記: skk-azik.el独自の操作方法
  • <2010-11-03 水>追記: 返答

僕はPC歴20年近くになりますが、タイピングはとても遅いです。 PC使いだしてしばらく経ってブラインドタッチを覚えたら、速度が頭打ちになってしまいました。 日本語入力環境は10年以上Emacs+DDSKKです。

タイピングが遅すぎる!

タイピングが遅い原因として考えられるのが、

  • 日本語変換のコスト
    • 変換していくので、打つ文面と画面の視線が往復する。こればかりは日本人である以上仕方ないですね。英語圏の人と比べたらとてつもなく大きいハンデです。
    • DDSKKの確定アンドゥがとても貧弱で、直前しか使えない。これはコードをいじれば解決できるはずなので置いておく。
  • QWERTY配列ローマ字入力の限界

T-Code等の漢直入力は、2打鍵で漢字を入力するという効率的な方法で、上記の2つの問題を解決してくれます。 しかし、漢字と打鍵の関連性がつかめず、対応を丸暗記しないといけません。 しかも実用的に使えるには1000文字くらい覚える必要があります。 思春期をすぎると丸暗記がやりにくくなるので、大人になってから挑戦するのは、おすすめできません。 挑戦したとしても、挫折して結局以前の入力方に戻ってしまうのが関の山です。 習得が難しく、時間がかかり、しかも挫折したら習得時間はまったくの無駄になります。 完全に習得できればリターンは大きいですが、多くの場合は無謀な挑戦になるでしょう。

キーボード配列もタイピングを遅くする原因になっています。 通常のキーボード配列はQWERTY配列です。 2段目の左からQWERTYと続くので、そういう名前です。

この問題を解決すべく出てきたのがDVORAK配列です。 DVORAK配列はキーボードの配列を打ちやすいように総入れ替えしています。 DVORAK配列に移行してしまえば、腕が疲れにくくなり、タイピングは高速化するでしょう。 しかし、移行するには何ヶ月も時間がかかります。 習得時は、まったく打てない状態なので業務がストップしていまいます。 おまけに、他のコンピュータを使うときはQWERTY配列です。 これも大人になってから習得するのは現実的ではありません。

ローマ字入力も、日本語文字列の出現パターンを無視している上、QWERTY配列では特定の指を酷使するので速度が出ません。

そこで登場したのが、QWERTY配列でのローマ字入力のまま、それを拡張する入力方式『AZIK』です。 日本語変換のハンデはガマンするしかありません。

AZIKとは

<2010-11-02 火>加筆

AZIKは、現行の入力方式の資産を生かしつつ、入力を改善していくスタイルをとります。 現行の方法を保持したまま、より打ちやすいように改善していくので、移行期間でも作業ができます。 いわば拡張ローマ字入力といったところです。 日本語の読みを研究しつくし、頻出のパターンを打ちやすく最適化しているので、より高速に、より疲れにくくなります。

僕は今日AZIKの練習を始め、このブログもAZIKでタイピングしています。

特徴
  • ほとんどのローマ字入力がそのまま使える
  • 「ん」、「っ」、「ー」が専用キーになっている
  • 「2文字目に『ん』が来る」場合は2ストロークで打鍵できる
  • 二重母音も2ストロークで打鍵できる
  • 拗音(きゃ行など)でYのかわりにGを使える
  • 同じ指で別々のキーを打つ文字が打ちやすくなる
  • 「もの」「こと」「です」「ます」等の頻出文字列も2ストロークで打鍵できる
とりあえずこれだけ覚えろ
  • 「ー」→「:(コロン)」
  • 「っ」→「;(セミコロン)」
  • 「ん」「Q」(もちろん「NN」でも打てる)
  • 「シャ行」の子音はX*1
  • 「チャ行」の子音はC
  • 「ゃゅょぁぃぅぇぉゎ」はLを前置する

「ー」は遠すぎるので、ホームポジションに置いています。

「っ」もホームポジションで1ストロークで打てるようにしてあります。 子音を連打するよりも、「;」で打つようにクセをつけしょう。 「ん」「Q」を打つようなクセをつけておきましょう。

僕は初日なので、「ん」で混乱してしまいますが、これだけ知っていても、かなり楽になると思います。

もっと先は

その後は、「撥音拡張」→「外来語」→「二重母音拡張とその他の互換キー」→「特殊拡張」の順に習得していくとよいです。 なぜなら、「ん」はQという特殊な位置にあり、現状通りにローマ字を打つと別の言葉が出てくるからです。 そして、ここをマスターしてしまえば、かなりAZIKの恩恵を受けることができます。 だからこそ撥音拡張の習得はすぐにやる必要があるのです。 二重母音拡張とその他の互換キー、特殊拡張はカイゼンに過ぎず、知らなくても日常の入力には差し支えません。

AZIKの奥義ともいえる特殊拡張は覚えられるものからちょっとずつ覚えていくとよいです。 とくに以下のものは便利です。

ktこと
dsです
msます
srする
stした

AZIK総合解説書 参照。

EmacsskkAZIKを使う

DDSKKは、すでにAZIK対応しています。

インストール

DDSKKでAZIKを使うには、~/.skkに以下の行を追加します。


(setq skk-use-azik t)
(setq skk-azik-keyboard-type 'jp106) ; 英語キーボードの場合は 'en を指定

skk-rom-kana-rule-listをいじっている場合はバッティングしてしまう確率大なので、導入時は無効にしておきましょう。

使い方

AZIKの仕様とDDSKKの操作がバッティングしているので、一部の操作方法が異なります。

  • DDSKKのカタカナ変換機能はqではなくて@を使う。*2
  • 「ぁぃぅぇぉ」はlではなくてxxを前置する、「ゃゅょゎ」はxを前置する
  • 「;」をDDSKKのsticky-keyにしている人は他のキーにする*3
<2010-11-03 水>追記 skk-azik.el独特の操作
操作入力される文字
x;;
xxa
xxe
xxi
xxo
xxu
xxh
xxj
xxk
xxl
yi

AZIKの練習するRubyスクリプト

AZIKは習得が楽とはいえ、ものにするには、少しは訓練する必要があります。 そのため、単語帳を使って訓練するRubyスクリプトを作りました。 単語帳のすべての単語をシャッフルして登場した単語を打ち込んでいく端末アプリケーションです。

単語帳をインストールする

AZIK練習用ワード集公開しました - tomoemonの日記 から azik_word_wt-0.1.0.zip をダウンロードします。 展開すると azik_word_wt というディレクトリが作成され、azik*.txt が入っています。 それぞれ、1行ごとに単語が書いてあります。

インストール

azik-renshu.rb をダウンロードし、単語帳の置いているディレクトリ (azik_word_wt) に配置します。 実行属性を与えておいてください。

Emacsでの使い方

M-x executable-interpretで直接実行するなり、「ruby azik-renshu.rb」なり実行します。 そして、DDSKKを有効にします。

http://www.rubyist.net/~rubikitch/archive/azik-renshu.png

MigemoAZIK化する

MigemoでAZIK!(「mpxo」で「猛暑」を検索) | 亜細亜ノ蛾 の指示のとおりに、cmigemoをAZIK化します。 RubyMigemoはまだAZIK化していません。

返答

kiyokaさん

Sekkaは興味があるので、実用段階になり次第試してみたいと思います。 開発頑張ってください。 楽しみにしています。

ローマ字からひらがなを媒介せずに変換できるので、C-tが活躍できそうな気がします。 SKKだと「くだしあ」と打ってしまったときにC-tしても「くだあし」になってしまうだけなので。

id:at-akaさん

T-Codeをマスターできているのがとても羨しいです。

それにしても、QWERTY配列がわざと打ちづらく作られた説が嘘だったなんてびっくりです。 常識が間違っていることは、ありますよね。 ただ、あの本は「なぜQWERTY配列になったか」が書いていないらしい(書評より)のが残念です。

P.S. fcopy.el便利に使っています!

*1:中国語のシャ行はXだったりする

*2:僕はいまだに混乱してます

*3:これが一番の関門かも